ハニー*スパイス
夜の森は想像以上に不気味だった。
それでもひたすら走る。
やがて目指す先にオレンジ色の灯りが見えた。
良かった……。
岳さん、まだいるんだ。
でも……と足が止まる。
ひょとしたら百合さんと一緒なんじゃないか。
そんな気がしたから。
そっと窓から中を覗きこむ。
そこには久しぶりに見る、岳さんの姿があった。
カウンターの中に立って、いつものようにダルそうにタバコをふかしている。
目を凝らして確認しても、他に人はいないみたいだった。
よし……と自分に気合を入れて
久しぶりに触れた、ドアを開けた……。