ハニー*スパイス


「女子高生が携帯持ってこないって……」


頭上で岳さんの声がして、あたしは慌てて顔を上げた。


「どんだけ慌てて来たんだよ?
マフラーもしてねーし」



ふわりと温かいものが首に触れた。


「これやるから。風邪ひくなよ?」


それは岳さんのマフラー。


ずっとこの店に置いてあったからかな。


ちょっとだけスパイシーな香りがする。



「それから、これは、大サービスな」


「えっ?」


スッと前髪を上げられて……。


チュってそのままおでこにキスをされた。



< 130 / 203 >

この作品をシェア

pagetop