ハニー*スパイス



「あ……これ……」


懐かしい香りが口いっぱいに広がる。


「これって、あのお菓子の味と一緒だ!」



「椿がいつも食ってたヤツは、“レープクーヘン”って呼ばれるお菓子で……
ヘクセンハウスは、レープクーヘンを組み立てて作るんだ」


「そうなんだ……」


「レープクーヘンはオレにとっては、母親の味……みたいなもんだった」


「えっ……。お母さんの味?」


「ん。
ガキの頃、一度だけ作ってくれたことがあって……。
その味が、忘れられなかった」

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