ハニー*スパイス
あたし達は裸のまま抱き合って。
時間を惜しむように、一晩中色んな話をした。
あたしはひとつだけ気になっていたことを尋ねた。
「ねぇ、岳さんがニューヨークに行くちょっと前、スーツを着ていたことがあったでしょ? 百合の花束を持って。
……あれは何だったの?」
「ああ……」と、岳さんはタバコに火をつけながら答える。
「あの日、納骨したんだ。花は墓前に供えるためだよ」
「そうだったんだ……」
それにしても……とあたしはむぅっとふくれっ面になる。
「ほんと、ウソつきだよね。
まさに今から恋人を迎えに行きます……って感じの幸せそうな顔してたもん」