ハニー*スパイス
秘密の部屋
その日からあたしは毎日ヘクセンハウスに通いつめた。
いつも出されるのはコーヒーとあのスパイシーなお菓子のみ。
そして相変わらずあたし以外に客はいない。
岳さんとふたりっきりで過ごす時間は、あたしにとってとても大切なものになっていた。
あたしは学校や家での出来事を面白おかしく話す。
岳さんは、聞いてるのか聞いてないのかよくわからないような態度で、
「ふーん」とか「へー」とか、そっけなく返事するだけ。
だけど、それで充分だった。
これはうぬぼれかもしれないけど。
少なくとも、あたしが来ることを迷惑がってはいないような……そんな気がしていた。