ハニー*スパイス
「ねぇ、岳さん?」
「ん?」
「あたし、今度の日曜。新しいお母さんに会うんだ」
「へー。それってどんな気分?」
岳さんはいつものように、お菓子とコーヒーをあたしの目の前に置きながら、そう尋ねる。
ママが6年前に亡くなったこと。
それからずっとパパとふたりで暮らしていること。
あたしの事情については、既に岳さんには話していた。
「そうだなぁ……。
パパには幸せになってもらいたいし。あたしはふたりを祝福するつもりだよ?」
精一杯強がって。
優等生なセリフを言ってみた。
だけど、岳さんにはお見通しだったみたい。
「ウソつけ」
「へ?」