ハニー*スパイス
完全に脱力してしまったあたしはズルズルと床に滑り落ちる。


また、からかわれた……。



岳さんは窓辺で立ち止まる。


そして何もなかったかのように

「今日も、誰もこねーな」

なんて言いながら、外の景色を眺めている。



その横顔を見ていると

なぜか胸がギュっとしめつけられるような気分になった。



夕陽色に染まる岳さんの顔がすごく切なく見えたから。


ここに来るようになってもうひとつ気になっていることがある。


岳さんはよくこの窓から外を見てる。



まるで誰か、来るはずの人を待っているかのように。



岳さんは……

ここで誰かを待っているの?

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