ハニー*スパイス
ずんずんと足を進める。
背後からはパパのなだめるような声がする。
「椿……あのさ……」
「聞いてないしっ!!」
振り返りもせずに、あたしは大声を上げた。
それにおどろいて、すれ違う人が振り返ったほどだった。
「……悪かったよ」
「なんで言ってくれなかったの?
信じらんない!! パパのバカ!」
「言うタイミングをはかってたんだ……」
「恥ずかしくないの?」
立ち止まって、振り返る。
「いい歳して、デキ婚なんて!」