ハニー*スパイス
「喫茶店だよ」


「喫茶店?」


「パパも昔はよく行ったなぁ」


懐かしそうに目を細めながら、パパはヘクセンハウスについて説明してくれた。


あの森はずっと以前は個人の所有地だったらしい。

今は市が譲り受けて管理しているものの、ヘクセンハウスだけは元々の持ち主がそのまま所有しているのだとか。


持ち主というのは、このあたりでは有名な大地主の老夫婦。


たしか……とパパは言葉を続ける。


「一昨年だったかな。たて続けにふたりともお亡くなりになった……って聞いてたけど」


「亡くなったって……。
え? 老夫婦がってことだよね?
あたしが見たのは、若い男の人だったよ?」

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