ハニー*スパイス


「椿……あのさ」


何か言いかけた岳さんの言葉をさえぎる。


まだ泣き顔だと思うけど。


今できる精一杯の笑顔を向けた。


「百合さんが来るまで!
あたし、何も求めない。
だから、ここに来させて……お願い」


フゥってため息をつく岳さん。


「お前のは“依存”って言うんだよ」


「依存?」


「椿はパパと向き合おうとしていない。
パパから逃れるために、ここに来て、オレを求めてるんだ」


違う……!

って、言い切れるのかな。


パパとの関係は不安定で……。

こんな時に、岳さんまで失ったら、あたし、ひとりで立っていられるの?

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