勇者ってガラじゃねぇ!
「いてっ!」
「………ごめんね。ウィット。痛かった?」

泣きそうな表情で俺の心配をするマリーに、怒る気もうせる。

「まぁ……ちょっとだけな」

すっぽりと俺の腕の中に収まる小さなマリーは、年の頃16歳。
だけど、その年齢さえ本当かどうか、マリー自身も知りえない。



『おとうさんとおかあさんは死んでしまったから、マリー自分のお誕生日もよく知らないの』
 明るく微笑んだ彼女の瞳に寂しそうな色が滲んだ。



 でも………
 だからって………


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