ファーストキスは、最後のキス
「2次関数y=-(x-1)2+3のグラフを…」
静かな教室に、チョークを黒板に打つ音が響く。
はぁ…。
ぜっんぜん、わかんないよ。
基本問題だとか、先生は言うけど、わからないものは、わからないよ。
閉めたカーテンの隙間から、こぼれる光があったかくて…
眠ってしまいそう。
先生の声が、だんだん遠くなっていく。
あぁ…。寝ちゃ駄目だ、私。
授業中なのに…
先生に…怒られちゃ………
「…ら、…くら…」
誰…?
小さくも、私の名前が聞こえてくる。
「さくらッ!」
「……んむぅ…。まだ眠いよぉ…。」
「おーい、起きろよ!」
隣の席から聞こえてくる、声。
私の肩を掴んで、ぐらぐら揺する。
「もう、部活の時間だよ?」
そうなんだぁ…。
「部活!?」
机に伏せていた顔を、ガバッと上げる。
一時間目に寝てて、そのまま部活の時間までずっと寝てたの!?
「そう。隣から、ずっと見てた。」
「み、見てたの!?」
そんな!じゃあ、一時間目終わった後にでも、起こしくれてもよかったのに…。
「ていうか、雅人も部活じゃない?」
「今日は、サッカー部の顧問がいないから休み!」
「そ、そうなんだ。」
それにしても、恥ずかしいとこ見られちゃったなぁ…。