ファーストキスは、最後のキス
後ろを振り向くと、雅人が腕を組んで、少しムスッとした顔でこっちを見たいた。
「……なに?」
「…なに、泣いてんだよ」
「泣いてなんかないもん」
ぷいっと、雅人と視線を合わさないようにする。
私の目には、今にも溢れそうな涙が溜まっている。
こんなカッコ悪い姿、同じクラスの子に、見せらんないもん。
「選手から落っこちて、ピーピー泣いてんじゃねぇかよ。」
雅人の言葉が、心に深く突き刺さって、涙がとうとう雫となって、アスファルトの上に落ちた。
「…っ……だって…ずっと夢だったもんだもん。……その夢が途切れて泣くことが…どこがおかしいってのよッ!!」
ぐしゃぐしゃな顔のまま、雅人を怒鳴りつける。
ドン引きだろうなぁ。
「すっごい期待してたのよ!選手になれたら、きっと、私の夢に一歩近づける。色んな人に、私の強さってもんを教えてやれるってッッ!!!」
怒りをどこかにぶちまけたくて、私は何も関係ない雅人に怒りを吐いていた。
最低だ。
今の私、凄く最低だ。
きっと、もうそろそろ雅人の拳が飛んで来るだろうな。
身構えてようかな。
「雅人は、全国出れるからいいよ!!私の気持ちなんかわかんないよ!」
雅人は、黙ったまま。
早く、もうどこかに逃げてよ。
そうしたら、この勝手に動く口も止まってくれるから…。
「本当に最近嫌なことばっか!好きな人には、フラれるし、大好きなバスケの大会には出られない!周りでヘラヘラしてる人見てると凄くイライラしてく…っ…」
その時、突然背中に回ってくる大きな手が、私の背中を押し、雅人の胸に引き寄せた。