ファーストキスは、最後のキス



「おはよう」



教室のドアの方から、聞こえてくる声。

すぐにわかる。…翔だと…。



翔の方に少し駆け寄る。



「ぉ、おはよ。翔」

「あぁ、おはよ」



やっぱり、前よりちょっと素っ気ない。

そうだよね。告って、フラれて…。

たとえ、翔が「また、普通に喋れるよな」って言ったって、やっぱり、話しづらいよね。

これが、現実だよね。




「………」



でも、やっぱり…寂しいな。

いつも、一緒に居たのに、急に、おっきな壁が出来たみたい…。




"キーンコーンカーンコーン"


学校に、鐘の音が鳴り響く。



"ガラッ"


ドアの古びた音が聞こえたと思うと、先生が入ってくる。


「席着け―。」


ちょっと小太りのおじさんが入ってくる。

一応、私のクラスの担任の先生。



「今日の予定は…―――」




先生の、少し長い話が始まる。

だけど、先生の長話をよそに、私は翔のことを考えていた。
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