ファーストキスは、最後のキス
「ありがとう、さくら」
そう言って、私のお弁当を受け取る翔。
翔の微笑む顔を、見るのが恥ずかしくて、俯いてしまう。
「でも、さくらはどうするの?」
「ゎ、私はお腹空いた時のためにパン持ってきてるから大丈夫!」
「そう?」
「うん!!全然大丈夫!」
少し、安心した。
なんだか、今の瞬間が、前みたいな関係に戻れた気がしたから。
「じゃあ、今度お礼するな」
「いいよ!そんなに凄いお弁当でもないしさ」
「俺がしたからいいの。さくらは、口出ししない!強制な!」
「は、はい。…じゃあ、それでバスケ頑張ってよね!」
「おぅ!」
「じゃ」
ついついニヤけてしまう顔を隠すように、少し早足で自分の席に戻る。
リツが、にやにやしながら、私を見る。
「よかったな☆」
「うん♪」
もう、わかってた。
やっぱり、翔が好き。
諦められない。
いつか、消える想いじゃなかった。
恋って、ドキドキしたり、凹んだり。
それが、楽しくて仕方ない。
翔に恋して、本当によかった。