ファーストキスは、最後のキス



翔が、ボールをドリブルしながら、ゴールを見つめる。

翔が、ボールをゴールに向かって投げた。




"ガンッ!"



ボールは、リングにあたって、下に落ちていく。

翔は、小さく舌打ちすると、ボールをまた追いかける。

東校の男子がボールを取ると、凄いスピードでこちらのゴールに来る。

西ノ宮の男バスが、ブロックしてもそれをあっさりかわす。



"シュッ…"



と、綺麗な音が聞こえたと思うと、ボールはすんなりゴールに入る。




「…ぁ……」



通常のシュートは、2点。

先に相手に、ポイントを取られちゃった。

どんな勝負でも、先にポイントを取った方が試合にも余裕が生まれる。

だけど、どうする?翔…。




「………」



ただ、緊迫した空気に包まれる。



また、ボールが動き出す。

翔がまた、ボールを取る。



翔は、何かを見定めたように、真剣な眼差しに変わる。そして、またボールをゴールに投げた。




ボールは、サクッと良い音を立てると、ゴールの中へ…。



「「「「わぁぁっ!!!」」」」



ギャラリーの歓声が響く。



「よかった」



少し、ホッとした。

頑張って、翔。



だけど、私はこの時、本当はどっちを応援していたんだろう?

翔だったの?

だったら、どうしてあなたから避けるようなことしちゃったのかな?



私は、誰が好きだったの?
< 28 / 65 >

この作品をシェア

pagetop