ファーストキスは、最後のキス
"ピ――っ!!"
また、笛が鳴る。
前半が終わった。
翔が額に浮かぶ汗を、タオルで拭いている。
「お疲れ様」
そう言って、翔にお茶を渡す。
「おっ、サンキュ!」
白い歯を見せて、満面の笑顔の翔。
ゴクっと、お茶を一口、喉に流し込む。
「前半が、五分五分だから、後半で頑張んなきゃ負けちゃうよ?」
「わかってる。また、シュート決めてやるよ!」
「うん!」
翔の笑顔を見ると、なんだか緊張していた心が溶けだす。
「よし!後半も頑張るか!!」
伸びをすると、翔は、コートの方に戻って行った。