ファーストキスは、最後のキス
「じゃあ、フリースロー10本!」
「はいっ!」
さすがに、フラれたからと言って、バスケ部に行かないと言うことは出来ないよ。
先輩にも怒られるし…。
母親にも、昨日はみっちり怒られましたし。
それに、男バスは隣のコートだし、見さえしなければこっちのもんだぜ。
「次、さくら!」
「ぁ、はい!」
フリースローは、あまり得意と言うわけではない。
立ち止まったまま、ボールを入れるのがスッキリしないからかな?
走った時に入れるあの瞬間が好き。
足ってどれくらい下げるんだっけ…?
とりあえず、一本投げてみる。
"ガンッ!"
やっぱり、私のボールは、ゴールのリングにあたり、下に落ちる。
むぅ…。
やっぱりフリースローは苦手だ。
「さくら!」
誰だ!
今は、集中してんの!
話しかけないでよ。
声の方を見ると、そこには翔が立っていた。
「もう少し足下げて、ボールを持つ手は、もう少し上げるんだよ。」
「ゎ、わかってるよ!」
なによ。
昨日はあっさりふったくせに。
仕方なく、翔に言われたとおりにする。
シュートすると、ボールはサクッと良い音を立てて、ゴールの中に。
「ゃ、やった!!やったよ、しょ……。」
あ゛ぁ゛ー!!そこで翔の名前使っちゃダメだって。
もう、きっぱり諦めたもん。
友達。翔とは友達だもん。