ファーストキスは、最後のキス

夏の風。




陽が沈みかける。

校庭がオレンジ色になる時間。

二つの影が、草の上に座る。



「あーあ…。負けちった☆」



なんだか、ふっきれたように微笑む翔。



「残念だったねぇ…」


ちょっぴり残念そうに、俯く私。



「さくらが、落ち込むなよ。普通、そこ俺が落ち込むトコだから」

「だって、入ると思ったんだもん」

「……悪かったよ…」



翔も、ちょっだけしぼむ。

あ…。ヤバいことしちゃったかも。



「ご、ごめん!でも、翔頑張ったよ!!2回ゴール入れたの翔だけだったもん!」

「………」

「翔~、元気出してよ~」



焦りながらも、翔の周りをうろちょろする私。



「なんつってー♪」



そう言って、私の髪をぐしゃぐしゃ撫でる。

まったく、この撫で方は、少し痛い。


だけど、嬉しい。



「もぉ…髪乱れちゃったじゃん」

「そんなに嫌なの?」

「女は、髪が命なの。つねに、サラサラじゃないと私は落ち着かないの!」

「そうなんだ」



バックから、くしを取ると、乱れた髪を整える。

セミロングの髪を、ゴムでポニーテールにして結ぶ。







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