ファーストキスは、最後のキス
「じゃあ、また明日ね」
「おぅ!」
別れ道。
手をふれば、翔がそれを返してくれた。
そんなことが、凄く嬉しくて…。
今日は、また翔に近づけた気がした。
今日だけで、凄く距離が縮まったと思う。
お弁当も渡せたし、普通に喋れるようになったし、一緒に帰ることもできたし♪
鼻歌を歌いながら、スキップする私。
「……らー!…」
「?」
今、…何か聞こえた?
「さくらー!!」
この声。
翔?
こっちの方まで走ってくる翔。
私の前まで来ると、膝に手をついて、息を整える。
「ど、どうしたの?」
「あのさ、弁当のお礼なんだけどさ、今度どっか遊びにいかね?」
「え?」
「嫌か?」
遊びに?
翔と…?
嬉しい。大好きな人と、デート………って言うのかな?
「全然!楽しみにしてるね♪」
「俺、プランとか考えるの結構上手いんだぜ☆」
「じゃあ、頼みましたよ!翔くん☆」
「任せとけ!一応、来週の土曜日あたり空いてるか?」
えーっと、土曜は、部活はお休みだよね。
とくに、家の用事もなさそうだし。
何か、特別なことが入ってるわけでもないから、いいよね。
「うん!土曜日ね!」
「よし!じゃあ、また明日な!」
翔は、私に背を向けると、また走って行った。
どうしたんだろう?
胸の鼓動が止まらない。
さっきから、だんだん高鳴るばかり…。