ファーストキスは、最後のキス

「ただいまぁ!」



玄関に鍵をかけると、リビングに行く。



「お母さん、今日のご飯何?」

「あら、帰ってたの?今日は……んー…カレーかな?」

「わかった」

「あ、でも、カレールーない!さくら、悪いんだけど、買ってきてくれる?」



えぇー…

面倒くさいなぁ…。



「また、今度CD買ってあげてもいいんだけどなぁ♪」

「行く、行く!!いつ、買ってくれる!?」

「今度ね!」



お母さんから、お金を預かると、制服のまま家を出る。

やった、やった♪

カレールー買うだけで、CD買ってくれるなんてラッキー☆

今日は、とことんついてるな★



家から、走って10分のところにあるスーパーに入る。



「えーっと、カレールー…カレールー…」


あっ、あった、あった☆

いつも、使ってるのでいいんだよね。

一応、2個買っとこ。


~♪


ポケットの中に入れていたケータイが、鳴りだす。

開くと、"母"の文字。



本文を読むと…




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from 母

つけたしお願い☆
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お父さんのビールと、
おつまみの枝豆と、
麦茶もお願い(-^□^-)

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「私、完全にパシリにされちゃったな」


苦笑いしながら、頼まれたビールと、枝豆と、麦茶を買い物カゴに入れて、レジで会計を済ませる。

スーパーを出て、薄暗くなった道を歩く。

通り過ぎる車を、ボーっと見ながら…。




「あれ?さくら!」



突然、後ろから私のことを呼ぶ人。

誰だ?と思い、振りかえる。



「雅人…」
















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