ファーストキスは、最後のキス



カタログとにらみ合って、もう、30分。



「ぁ、あった!これだよ、これ!!」


お目当ての服を発見。

ロングカーデと、キャミソールに、デニム。

ポップから、ちょっと大人めな感じになっちゃうけど、これが一番ピンときたからこれにしよ★


「お母さん!ちょっと注文してもいい?」

「いいけど、さくらのお金で買うのよ?」

「はーい♪」



電話の受話器を取ると、カタログに載っている電話番号を押す。

しばらく、コール音を聞くと「はい、こちら…」と、女の人の声。



「カタログ番号****の……」



目当ての服を、注文すると、受話器を下ろす。

一週間以内に届くみたいだし、大丈夫♪



こんな時の為に、おこずかい貯めといてよかった。

友達と遊びに行くのも我慢して、可愛い雑貨のお店も、頑張ってスルーした甲斐があった。



「やっぱり、彼氏とのデートに着てく服買うの?」



お母さんが、私の顔を覗き込むようにして言う。



「ち、違うもん!!」

「ふぅーん♪」



何かを見通すように、笑うお母さん。

本当、お母さんには嘘つきづらいなぁ…。


でも、彼氏はいないってことだけは、本当なんだけどね…。

デートかどうかは…わかんないし。




でも、少しくらい気合い入れていきたいじゃん。
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