ファーストキスは、最後のキス
お風呂からあがって、髪をふきながら2階に上がる。
カーテンを開けると、月がちょうどいいくらいに、窓から見える。
月を飾るように、星が鈍く煌めく。
「綺麗…」
月って、こんなに綺麗だったっけ?
星って、あんなに光ってたっけ?
恋してると、周りのもの全部が煌めく。
色がないものは、色づき。
色があせたものは、また、新しく塗り替えられてく。
今まで、何回か恋してきた。
幼稚園の頃は、同い年のロン毛の子。
小学校の頃は、野球やってたクラスの人気者。
中一の時は、陸上部の先輩。
なんか、結構コロコロ変わってきたなぁ。
曖昧な気持ちだったのかもね。
でも、今は、ハッキリわかるもん。
翔が好き。
好きで、好きで、たまらない。
この想いは、今までの恋みたいに途中で捨てられる恋じゃない。
もう、半端な気持ちで人を好きになったりしない。
ちゃんと、前を見ながら歩く。
振り返ったりしない。
振り返っても、"過去"と言う思い出だけしか見えないのだから…。