ファーストキスは、最後のキス
ボールは、綺麗にゴールに入る。
落ちてきたボールを取る。
部長は、ゴールした回数や、フォームの形を見て、補欠決めをしている。
補欠でも大丈夫。
全国大会に、ついていける。
それだけでも、私は充分。
来年の全国大会に、出る為の勉強になるもん。
今日の、私は、やけに好調だった。
シュートを何回決めたんだっけ?
忘れちゃうくらい。
"サクッ…"
またボールが入る。
「よしっ!」
"ピ――!!"
笛が鳴って、試合が終わる。
私は、揺るんだ靴のひもをまた結ぶと、荷物置き場の方に歩いて、麦茶を喉に流し込む。
美夏が走ってきて、私の肩にポンッと手を乗せる。
「さくら、超絶好調だったじゃん!」
「今日は、ボールがすんなり入ってくれたの♪」
「さくら、補欠狙いでしょ?」
「うん!美夏についてく☆」
「おっ!ついてこい、ついてこい♪」
タオルで、汗を拭く。
女バスは、休憩時間がちょくちょくあるけど、男バスは休憩時間がまったくない。
だから、結構疲れるし、水分補給が必須になる。
なにか、私に出来ることってないかな?