ファーストキスは、最後のキス
◆*。*ファーストデート*。*
朝の静かな公園に、ボールの弾む音が響く。
車の音も、靴の音も聞こえないほどの、静寂。
その中で…
"ガンッ"
バックボードにボールが当たる。
跳ね返ったボールが、私の足元にバウンドしながら戻ってくる。
そのボールを、少ししゃがんで取る。
「ふぅ…」
リストバンドで、汗を拭く。
私のちょっとした朝練。
私の学校のバスケ部は、朝練がない。
と、言うより、部長が朝はいない。
寝坊するからね。
部長がいないと、部活動が出来ないのです。
コートのカギを持っているのが部長だから。
デートは、明日。
凄く、凄く…楽しみ。
服も届いたし、準備もOk。
はぁ。
早く、今日が終わってしまえばいいのに。
そうすれば、明日の朝になる。
朝になったら、新しい服に身を包んで、お気に入りの靴を履いて、翔が今日教えてくれる待ち合わせ場所に向かう。
ドキドキしながら、その一日を楽しむ。
楽しみ過ぎて、顔がどうしてもニヤけてしまう。
「ほっ!」
ボールを投げると、リングの上を転がり、中に入る。
「よし!今日も、絶好調」