ファーストキスは、最後のキス



「屯倉ー!さくら、起きたよぉ!」

「ちょ!ぃ、今はいいって!」



「さくら?起きたか?」



カーテンの向こうから、影が見える。

慌てて、リツの後ろに隠れようとする。

うぅ…。

こんな情けない姿、お見せできません。

熱中症で、ぶっ倒れたなんて。



カーテンを開けて、翔が入ってくる。



「じゃあ、あたしは帰るわ。屯倉、悪いんだけど、今日さくら送ってってくんない?あたし、今日は宿題が溜まってんだわ」

「……あぁ、わかった」




ぇえ!!

そこ「わかった」言っちゃう!?



「んじゃ、さくらまた来週ね~♥」



リツは、怪しい笑みを浮かべながら手を振ると、保健室を出て行った。



「熱中症だって?大丈夫か?」

「ぅ、うん」



翔は、私の寝ているベットに腰を下ろす。



「明日、遊園地行こうと思ってたんだけど、辞めとくか?」

「大丈夫!!もう、超元気になったから!」



ここで中止にさせるわけには!!

意地でも行くんだから!



「じゃあ、明日の待ち合わせ、駅に集合な★」

「うん!」




良かったぁ。

中止にさせられたら、私、半年くらいは軽く落ち込んでるもん。
< 47 / 65 >

この作品をシェア

pagetop