ファーストキスは、最後のキス



「ぎぃぃやぁぁぁぁぁ!!!」



お化け屋敷に、もの凄い声が…。

中では、私が慌てながら大声を上げている。



「お、おい!さくら!落ち着けって」

「も、もう無理ィ!!」

「これ、スライドだって!」

「スライドでも、なんでも…もう無理ったら無理!」



半泣き状態の私。

翔の服にしがみつく。



「本当、泣き虫だなぁ…」

「……っ…ぅっ…」



その時…


「「ぐわぁぁぁっ!!!」」

「きゃああっ!!」



後ろから、白い服に血が付いてる女の人が追いかけてくる。




「イヤぁぁぁぁぁああっっ!!!!」




翔の腕を掴んで、出口まで猛ダッシュする。




「さ、さくら!?」




出口から出ると、息を切らす私。

し、死ぬかと思った。

もう、絶対入んない。




「こ、殺されるかと…」

「お化け屋敷の中に居る人たちの、誰がさくらを殺しに来るんだよ。ここの従業員だぞ」

「そ、そうですね」

「そろそろ、回転ブランコの時間だから行くよ」

「うん」



冷や汗を流しながら、翔についていった。






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