ファーストキスは、最後のキス
回転ブランコの前まで来て、従業員の人に整理券を見せる。
「では、3分後に始まりますので、お早めにお乗りください」
通路を通る私と翔。
「ねぇ、さくら遊園地に来たの何年振りだろう?って言ってたけど、何歳くらいの時から来てないの?」
「んー…。たしか、7歳くらいかな?お母さんも、お父さんも会社で忙しくて、あんまり来れなかったの」
「じゃあ、今日は、その行けなかった10年間ぶん楽しむぞ!」
「おっしゃぁ!」
ゲートを抜けて、下まで降りてきている回転ブランコに乗る。
「楽しみだね♪」
「そだね」
【それでは、回転ブランコstar始まります】
回転ブランコが、回転しながら浮かんでいく。
「すごーい!」
「さくらの声のほうがすごいよ」
本当に、本当に、すごく嬉しかった。
家族と共に過ごせなかった時間を、翔が作ってくれた。
やっぱり、大好き。
この気持ちは、きっと変わらない。
変えたくない。
もしも…もしもの話だけど、翔がいつしか、私と向き合ってくれるときが来るといいなぁ…。