-towani-




「ありがとう」

そぅ言って久野くんが

150円をあたしに握らせた。



「えっぁのっ!!」

「いいの!!」

「でもいいのっ
あたしが勝手にしたんだしッッ!!」

「んじゃバイト代って事で」


久野くんは引かない様子で、

あたしは引き気味。


「ありがとなっ」

もぅ1度太陽より眩しい笑顔を見せた。



「んじゃ俺も。

ありがとな立花」


高野くんもあたしにお金を差し出した。


「いいですっ!!」

「じゃぁここに置いとくから」


ニッと笑って高野くんは

久野くんの所に行った。


「ありがとね立花さん」

「ありがとう」

「ありがとうっ」





今まで、

言われた事も無かった言葉がどんどん

あたしに降ってくる。


初めて言われたから、

何て返したらいいのかが

分からない。


こんな事になるんだったら

勉強しとけばよかった。



みんながあたしに笑顔を見せてる。

みんながあたしに、

「ありがとう」

って、言ってる……。



「っ…ぇ…っ、…」

「何でそんな事で泣いてんだよっ」


その中でも太陽よりも眩しい笑顔を

見せている久野くんが、

あたしを見てる。



「そんな事で泣くなよ」







多分このときから

あたしは、…


茜が好きだったんだと思う。


茜…。

ありがとう。








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