-towani-




「黒板に番号書くからそこ行けよ」

すでにくじは名前を書いて回収されて、

みんなドキドキしてる。


あたしも心の中で、

久野くんか高野くんか椿木さんの誰かが

あたしの近くだったらいいのにって思ってる。



文化祭にも思った。

あたしは、

『1人のときのあたし』

を忘れちゃったんだ。

どうやって過ごしていたのか、

忘れちゃったんだ………。





「お、立花俺と隣じゃない?」

斜め前の久野くんがあたしに言って、

黒板を見ると確かに

あたしの番号の隣に久野くんの番号があった。



「立花いいなー茜の隣でー

交換してよ」

「!!」

突然隣から話し掛けられてビックリした。


「替えさせねぇかんな。

ほら、席移動させろー」







新しい席は、

窓側から2列目。

後ろから2番目で

みんな曰く『いい席』らしい。





「立花!!立花!!」

授業中に佐川くんに小声で呼ばれた。

「頭低くして」

「?」


あたしは言われた遠い通りに頭を低くすると

佐川くんはあたしの隣で寝ていた久野くんに

消しゴムを当てて、

久野くんはそれでガバッと起き上がって、

先生に寝ていたことがバレて怒られていた。


クラス中が笑って、

久野くんは恥ずかしそうだった。






< 21 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop