-towani-
次の日、
あたしはいつも通り
樹のように立っていた。
「立花何してんだよ。
俺等の所来いって昨日言っただろ??」
本当は覚えていたんだけど、
あの時だけかと思って、
変な期待しないように、
あたしは久野くんの所には行かなかった。
それに、
久野くんの友達と、
久野くんを嫌な気分にさせたくなかったから。
行かなかった。
「茜いた?」
ひょこっと出て来たのは
久野くんの友達の高野くんだった。
「おーいたいたっ♪
立花行くぞ」
久野くんに手首を掴まれて
あたしは無理やり教室を出された。
でもその後すぐに
隣の教室の準備室に入って行った。
「!!??」
何が何だかわからなくて、
あたしはドアの所に固まっていた。
「立花の家、どこらへん??
安く売ってる店とか知らねぇ??」
話し掛けられたのはいいんだけど…;;
「“何が”売ってる店ですか…;;」
「「……だよな!!」」
ニカッと久野くんと高野くんが笑った。
「茜それ言わねぇとわかんねぇって!!」
「わかってるって。立花ごめんな!!
お菓子なんだけど知ってる??」
「……………。」
「…………、…立花…??」
「えっ!?」
「店知ってる??」
「ぁ、ごめんなさい。
思い出してて…」
「あっそっか!!
黙ってるから何してるのかと思った!!」
「俺も~」
久野くんも、
高野くんも、
おかしいよ……。
何であたしなんかに笑顔を見せるの??
何か楽しい事あった??
あたし久野くんに迷惑かけちゃったし、
高野くんに関しては
あたしっていう邪魔者が入ったんだし…。
何で2人が、
あたしに、
こんなにも眩しい笑顔を見せるのか、
全然分からなかった。