ソラとクローバー☆もうひとつの『アルタイル』
「けどさ、汐ちゃん結構人気あるらしいぞ。クラブの中でも狙ってる奴が何人かいる、ってこの前トモが言ってたし・・・ま、可愛いよな。確かに」
・・・・っ!?
「って、俺はタイプじゃないよ?俺美人系が好きだし。どっちかと言えば凛ちゃんの方かな・・・・って、そんなことはどうでもいいけど、早速部活内恋愛禁止!とでもOBの権力で言っちゃえよ」
「は?」
口を開けた俺の方を見もせずに、タイチはなにやら難しそうな顔をして、でも口元はにやにやと笑ったまま、うんうん、と頷いてるし。
ダメだ。
こいつは、完全に楽しんでるな。
「ほら、タイチ。もう始まるぞ」
タオルをつかんで更衣室の扉を開けると、黄色いコートが広がった。
「あ、おい。ちょっと待てよ。話まだだろ?」
あせるタイチを背に俺は歩き出す。
本当は・・・・あの時。
勇気を出して彼女の携帯を聞いたことなんか、絶対に言えないよな。