ソラとクローバー☆もうひとつの『アルタイル』
高校の校門の前にたつと、もう夜とはいえ、まだ職員室には明かりがついていて、
俺は迷うことなくその光を目指して走っていった。
「栗原?」
眼鏡をかけた教頭が俺を見て驚いたように声を出した。
「すみません・・・いきなり・・・・・・」
肩をゆらしてる俺に、教頭は怪訝そうに顔をしかめたけど、すぐに納得したように、俺に手を差し出した。
・・・・?
「おめでとう。キミはやはりこの学校の誇りだよ。アメリカでバスケットやれることになったんだって?」
監督からか・・・。
「はい・・・・・・いえ、今日はそのことじゃなくて」
「ん?なんだい?」
「凱と・・・堂島汐のことです」
その名前が出たとたんに、教頭は一瞬渋い顔をしてから机のカバンを手に取った。
「あ~・・・・その件なら、もう校長は帰ってしまってるんで、私からはなんともいえないね」
「事件のこと、聞きました・・・・俺からこんなこと言うのはおかしいですけど・・・・・・・元コーチの立場からも、一言言わせてもらいたい、と思いまして」
「いや・・・・ね・・・、堂島くんは元々・・・なんていうか噂になっててね・・・その男性関係で」
そう言って教頭はちら、と俺を見た。
俺とのことも、もう知れた事実なんだろう。
でも、もしもそんなゴシップ的に汐の処分が決まるとしたら・・・