最強☆マイヒーロー
――数分後…
「ハァ…ハァ……」
総長の妹の手には、救急箱が握られていた
「痛そうだから、治療しますっ
化膿したら、大変ですからね
こっちに来てください
あそこだと、雨、当たらないから…」
どこに行ったのかと思えば、俺の為にわざわざ家から救急箱を取ってきたらしい
俺の腕を掴んで、立たせようとする総長の妹…
「離せっ!」
腕を振り払い、掴んでいた手を離させると、
「治療……させて下さい…何かに集中しとかないと、壊れちゃいそうで……」
「……」
明るく振る舞っているから、てっきり、もう開き直ったのかと思えば、気を紛らわせたかっただけか…
「…分かった」
俺と総長がつるんでいたことを知ったら、この女はどんな反応をするのだろうか
軽蔑……するだろうか…
「痛かったら、すいません…」
手際よく、治療していく…
「慣れてるんだな…」
つい、呟いてしまった俺に、総長の妹はあぁ…っと言って、答えた
「私のお兄ちゃん、よく怪我して帰ってきたから……」
手当てをいつもしてあげたのか……
「お兄ちゃんは、優しくて、頼りになって……すごくいい人だった…
なのに……なのにっ
殺された!!
どうして?!
お兄ちゃんは何も悪いことしてないのにっ!!」