俺様甘甘王子様





 
 「りゅ…う」



 
 あたしは、彼の名を呼ぶ。


 震えた声で。



 
 彼はゆっくり振り返る。


 
 『バカ』


 「な…なによ!」


 『ホントにバカ。なんで助け求めねぇの?』


 「そ、それは…」


 『雅…怖かったろ…』



  
 あたしの顔は、龍の腕の中に埋まった。


 
 あったかい。



 
 「龍。龍…」


 
 
 あたしは、我慢する。



 『何我慢してんだよ。泣けよ。俺しか見てねぇから…』


 「りゅ…うッ」


 
 あたしは龍に力いっぱい抱きついた。

 これでもかってくらい。



 まるで、泣きわめく幼児のように…。









 
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