俺様甘甘王子様
『そこら辺歩く?』
アサミンが言った。
あたしは縦に顔を動かした。
すれ違う人たちは
みんなカップルばっかり。
…ムカツク。
無性にイライラしたのだった。
手を繋いで、仲良く歩く。
またあたしは
羨ましいと思ってしまうのだ。
………。
お母さんと小さいころ
よく手を繋いだ。
その温もりが好きだった。
つないだ手を放したくはなかった。
でも、放してしまった。
いや、放さないといけなかったんだ。