俺様甘甘王子様





 
 『何いってんの?』

 「なんでも、…ない」



 彼の顔をこれ以上見ると…

 心臓に悪い。


 
 ギューーってなる。


 だから…

 あたしは下を向く。


 
 『教科書』

 「やだ」

 『貸せ、』

 「無理、却下」

 『…んでだよ?』

 「嫌だから」



 下を向いたまま、

 あたしは言う。



 龍がどんな顔してるかなんてわからない。



 でも、声が

 少しだけ

 悲しくなるのがわかったんだ。



 
 『あっそ…じゃぁ誰かかしてくんね?』



 龍は、結局あさみんから

 教科書を借りていた。






 
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