初恋
翌朝、どんよりと重たい空。

今にも雨が降りそうだ。

今日はオリエンテーリング。

ポイントごとのチェックと、ヒントをもらいながらゴールを目指す。

レインコートを着て、各グループが時間差で施設をでる。

歩いていると、お腹がしくしく痛み出した。

「お腹いたぁい…」

幸恵ちゃんにこそっと話す。

「大丈夫?薬飲む?」

そういって幸恵ちゃんは、鎮痛剤を出してくれた。

「ありがとう…」

水筒のお茶で飲み下す。

なんでこんなときに生理がきちゃうんだろ…

痛むお腹をさすりながら、一番後ろを歩いていると、土田くんが傍に来た。

「清野、元気なくない?どうした?」

「うん…ちょっとだるくて…でも薬飲んだからもう大丈夫。ありがとう。」

弱々しく笑うと、土田くんは心配そうに眉間にシワをよせながら、無理するなよ と言って、先頭を歩き出した。

このグループのリーダーは土田くんだ。

一番前を歩いて、みんなを先導する。

さっきよりも、歩みがずっと遅くなった。

優しいな…

最初のチェックポイントにつく頃には、薬が効いてきたのか、すっかり体調も良くなった。

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