初恋

体育館

体育館に入ると、長机が並んでいてクラスが大きく表示されている。
事前の通達だと、美月は6組だ。
6の数字を探すと右の方にあった。

全部で8クラスあるみたい。
市内には4つしか中学校がないので、小学校よりは大所帯になる。
緊張しながら受付を済ませ、一緒に来ていた母親と別れ椅子に向かう。

出席番号順で、椅子に番号が割り当ててあった。
美月は10番。
女の子は18人だから大体真ん中あたりのようだ。

まだ席はがらがらだったので10番の席は容易にみつかった。

(あれ…誰か座っている)

10番の席には既に女の子が座っていた。
本来なら人見知りな性格で、初対面で声をかけたりはできないタイプの美月。
でも中学校は楽しもうって決めていたから、思い切って声をかけてみた。

「あの、ここ私の席みたい。ほら、10番。」

ぱっと顔をあげたその子は小柄で天パのおとなしそうな女の子だった。

「あれ?ほんとや。ごめんなさい〜」

見る位置を間違えてしまったようだ。
若干イントネーションになまりがある。
なんとなく友達になれそうと思ってドキドキしながら話しかける。

「ううん!気にしないで。私、清野美月。桜小?緑小?」

桜中はほぼ、桜ヶ丘小学校か緑川小学校から上がってくる。
見たことのない子だったので、緑小かと思ったけど、答えは違った。

「あ、うちな、福岡出身なんよ。高部真緒です。よろしくね!」

そう言って、はにかみながら真緒ちゃんは笑った。

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