初恋
窓の外を見ると雨がやんでいた。

「亜依見て!綺麗」

外は痛いほど真っ赤に空が染まっていた。

ベランダにでて右をみると、山の向こう側が真っ赤に燃えている。

亜依と並んでしばし言葉を失う。

左を見ると、校庭の水溜りに太陽が写りこんで赤く染まっている。

雨だったから、運動部は誰もいない。

静かな校庭が赤く紅く燃えている。

不思議な絵のような光景に見とれていると、見慣れた人影が歩いているのを見つけた。

「あ、土田くんだ」

「どこ?」

「ほら、あそこ。歩いてる」

バレー部が終わるにはまだ早いこの時間。

なんで歩いているんだろう。

土田くんは一人で歩いている。

と、思った。

でも違った。

後ろに女の子がいた。
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