初恋
そこには7色の虹が、山にかかっていた。

大きな、大きな虹。

邪魔するものがなにもなく、眼前に広がる光景。

言葉を忘れて見とれてしまう。

祈りたいような気持ちになり、土田くんのことを想う。

今、隣にいてくれればいいのにな。

この景色を土田くんとわかちあいたい。

どこかで、土田くんも虹を見ているといいな。

そうしたら、虹に美月の気持ちを伝えてもらいたい。

土田くんの気持ちも伝えてもらいたい。

土田くんは今何をしているんだろう。

センチメンタルな気持ちになる。

「美月、いくよー」

亜衣に呼ばれ、後ろ髪をひかれながらも歩き出す。

土田くんの顔が見たいな。

少し、切なくなった・・・
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