+Sariel+
男は、ピザ宅配のチラシを見ながら、言った。
「やっぱ、このコーンマヨネーズウィンナーとか、おいしそうだと思うんだけど」
・・・小学生か。
そう言いたいのを我慢する。
あたしは男の言葉を無視した。
無視して、そのまま小説を読み続ける。
「アズサちゃん、何でもいいの??俺、勝手に頼んじゃうけど」
「・・・勝手にすれば」
低い声で、うなる様に言う。
男はヒュゥッと口笛を吹いた。
ソファから立ち上がって、嬉しそうに電話に向かって歩いていく。
「・・・あ。・・・ねぇ」
あたしは振り返って、男を見て言った。
男が、あたしのほうを見る。
「・・・携帯、持ってないの??」
「ケータイ??
・・・あー、さっき来る途中、タクシーの中に忘れちゃった♪」
「・・・は??」