+Sariel+
まるで時が止まったかのように。
男が笑ったまま表情を止めた。
そして、あたしを見る。
「・・・なんで??」
「疑問に、思った。から」
男が立ち上がって。
あたしに近づいてくる。
あたしは、逃げることもしなかった。
男はあたしを押し倒した。
あたしは、ソファの上で寝転ぶ形になる。
そしてその上から覆いかぶさるように、男がソファの上に乗った。
「・・・アズサちゃんって、処女??」
頭の中で一瞬、線香が走ったかのように頭痛がした。
それを悟られないように、あたしは表情を変えずに言う。
そう、無表情のままで。
「・・・違うけど」
「・・・違うんだ。へー、真面目そうなのにね。意外かも」
男の唇がそっと、あたしの唇に触れた。
あたしは拒むこともせず、おとなしく受け入れる。
キスは少し、タバコの匂いがした。
テレビの音が、どこか遠く感じる。