+Sariel+
あたしはわざと足音を立てながら廊下に出て、二階に上がり、自分の部屋に入る。
そしていつも通りに、壁にかけてあったセーラー服を取ろうとして・・・。
ハッとする。
セーラー服が、ない。
「アズサちゃーん!!制服、下に下ろしてあるよー」
階段の下から、声がした。
!!
せっかく二階まで上がったのに!!てか!!
「勝手に人の部屋、入ったの?!」
階段の上から、階段の下の男に話しかける。
男が、少し顔を覗かせながら。
にっと笑った。
「アズサちゃんの部屋、いい匂いだったよ♪」
「変態!!」
そこら辺にあった雑誌を、階段の下の男に投げつけた。
「いてっ」と小さな悲鳴が聞こえた。
来る時よりも音を立てながら、階段を下りる。
階段の所で痛そうに、頭を抱えている男を、あたしは完全無視した。