+Sariel+
「それで、このXは・・・---」
先生がそう言いかけた瞬間、あたしは教室のドアを開けた。
流石に前のドアを開ける勇気はなかったから。
後ろのドア。
教室内の人の目が一斉に、あたしに向けられる。
・・・正直、いい気分じゃない。
「加東。遅刻か」
先生が、あたしを見て言った。
声を出すのも面倒で、適当に頭を下げる。
誰かがこちらを見ながら、ひそひそ話を始めていた。
「早く、席に着きなさい」
言われなくても分かってるよ。
そんなことを心の中で呟きながら、一番窓側後ろの席・・・あたしの特等席に座った。
「加東さん。久しぶりだねー!!」
授業が終わって。
1人の女の子が、あたしに声をかけてきた。
・・・ダレだっけ??
あたしはさっきと同じように、適当に頭を下げる。