+Sariel+




・・・イメージと全然違う。




あたしが想像してたのは、メガネで陰湿そうな男。
生きてることに、本当に絶望してそうな。


産まれてきたその瞬間から、この世界を恨んでそうな、男。





「中、入っていい??」






男は笑ったまま言った。


「え・・・あ、はい」


あたしの返事を聞くなり、遠慮することもせずズカズカと家の中に入ってく。
男は、有名なブランドのスニーカーを脱ぐこともせず、部屋の中に入った。


注意しようとして・・・止める。



いいや。
どうせ、ここで過ごすのも後、何日間か。



その短い期間の中で、この家に出入りするのは、この男とあたしだけ。


あたしも、サンダルのまま、家の中に戻る。





「・・・へぇ。家、大きいね」







居間に入って。
男は本当に、感心したように天井を見上げながら言った。



あたしも、同じように見上げる。

そこにあったのは、見慣れた、高い高い天井。






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