+Sariel+
「・・・てか、ここ、ファミレスじゃないじゃん」
数分後。
あたしは、止まったバイクにまたがったまま、言う。
目の前に建っているのは、小さなお店。
黄色い壁に赤い屋根と、とても可愛らしい雰囲気を放っている。
バイクから降りて、男は、あたしを見てにっと笑った。
「いいからいいから!!」
男の両手が伸びてきて。
あたしの横腹を持って、持ち上げてからバイクから降ろした。
「大丈夫だって!!自分で降りれるし!!」
「えー??大丈夫だよーアズサちゃん、めっちゃ軽いし!!」
ギンは、横腹から、手を離して。
左手であたしの右手を、そのまま握った。
ドキリとする。
ギンはあたしに手を握ったまま、スタスタと店内に入っていった。
「よっ、マスター!!」
カウンターの奥にいた、黒髪の男の人に、ギンが声をかける。
マスターはこちらを見て。
そして、嬉しそうに笑ってから手を上げた。