+Sariel+





マスターが笑って。


頭を下げて、中に戻っていく。
あたしは男を睨みつけた。


「ちょっと!!
あたし、まだメニューも見てないんだけど!!」


「この店のオムライス、超美味いから!!
アズサちゃんも、食べたら直ぐに虜になっちゃうよ!!」




いや、そういう問題じゃないでしょ!
普通、ちょっとくらい断らない?

言おうとして、やめる。


どうせ、この男に何を言っても無駄だ。




「あ、そーだ!!
アズサちゃん、今日、学校どうだった?!」




男に聞かれて。
あたしは言葉を詰まらせる。


「・・・普通」


「普通ってなんなのさー!!」



男がケタケタと笑った。
あたしは、俯く。




「・・・ねぇ」


「ん??」




「あんた、学校好きだった??」






あたしは、右手でグラスを手に取った。

ほんの少し、水を喉に流し込む。




< 32 / 90 >

この作品をシェア

pagetop