+Sariel+









「嫌いだったよ」









男が即答する。
その返信のはやさに。
飲みかけていた水を、あたしは噴出しそうになる。



噴出さなかった代わりにあたしは、ゲホゲホと咳き込んだ。



「・・・っ、はやっ!!」


「んー、学校は嫌いだったよー!!
俺、いっつもサボってたしね!!
でも、ダチは大好きだった」


「ダチ・・・ね」



あたしはぼんやりと呟く。
男が頷いて。


懐かしそうにどこか遠くを見ながら言った。



「みんな、いい奴で。
高校のときは、馬鹿騒ぎしてた。
何回も補導されたし。捕まりかけたし。

ケンカもすげぇしてたかな。
毎日のように殴り合い」




どこか楽しそうに語る男に、あたしはふっと微笑んで言った。



「ケンカ、強かったの??」


「俺??
こう見えて、やばいくらいに強いよっ」




「おまたせしました」






声がして。


ハッと、声がした方向を見た。
そこには、二つのお皿を持った、マスター。



お皿の上には、湯気を放っているオムライス。





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