+Sariel+
「オムライスです。ごゆっくりどうぞ」
あたしは小さく礼をして。
マスターの、去っていく後姿をじっと見つめる。
隣でカチャカチャと、金属がぶつかる音がした。
「ささっ!!食べてみて!!
絶対おいしいから!!」
あたしはギンを見て。
頷いた。
彼の左手から、スプーンを受け取る。
右手でスプーンを持つと、そのスプーンをゆっくりとオムライスの中にさした。
オムライスはとても柔らかかった。
ちょうどいい熱さで。
口に入った瞬間、卵がとろけていく感じがした。
「おいしい」
自然に顔がほころんで。
気がつけば、そう発していた。
隣のギンが、嬉しそうに笑う。
「だろ、だろ??」
あたしは、あっという間にオムライスを平らげていた。
「こんなにご飯、しっかり食べたの。
久しぶりかも」